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CA25でUTASについて語った

Published: at 10:00

2024年11月22日、「コミックアカデミー25」の「知的同人評合戦」に出場し、『東京大学の学務システム「UTAS」』というタイトルで話題提供をしてきました。

会場は大変盛り上がったのですが、参加者が決して多くはありませんでした。せっかくなので、スライドと発表原稿の一部を公開してみようと思います。

なお、最後に座談会の告知も付けておきます。ぜひ最後までお読みください。

スライド

スライド


原稿

皆さん、今日は平日の午前中から、寒い中、お集まりいただきありがとうございます。東京大学東京大学同好会のRyocatと申します。わたくしは本日「UTASについて」というテーマでお話しいたします。短い時間ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、UTASとは何か。ここにお集まりの多くの方はご存じかも知れませんが、確認しておきます。

UTASとは、東京大学で、授業の事務手続きに関することを処理するためによく使われているシステムです。例えば、学生の方であれば、シラバスを閲覧したり、履修登録をしたり、成績を確認したり、といったことです。そのほか、授業料免除の確認や、各種のお知らせの掲示などにも使われています。このようなシステムは一般的には「学務システム」と呼ばれます。

さて、今日はこの東京大学の学務システム「UTAS」についてご紹介します。UTASは、学生生活を支える重要なシステムであるだけでなく、実は多くの面白いポイントがあります。

面白ポイントその1。UTASには、普段は気づかないような隠し機能がたくさんあります。例えば、キャンパス内に設置されている証明書自動発行機。学生が簡単に各種証明書を取得できるこの機械の中で動いているのは、実はUTASなのです。また、試験の時期に貼り出される座席表もUTASで作成されています。さらに、学生相談を管理する機能や、博士論文を提出するときだけ使う機能など、様々な場面でUTASが活躍しています。

面白ポイントその2。つい数年前まで、東京大学にはUTASに相当するものが2つありました。2017年の半ばまでは、東京大学の学務システムは「UTask-web」と「UT-mate」という2つのシステムに分かれていました。「UTask-web」は教養学部前期課程用のシステム、「UT-mate」は各学部後期課程・大学院用のシステムです。この2つのシステムが統合され、現在のUTASが誕生しました。

ちなみになのですが、そもそも、2008年このUT-mateが作られた際も、東京大学は学部ごと・研究科ごとに様々な物事がバラバラで、10学部15研究科の汎用システムを構築するのは困難を極めたといいます。

さて、UTask-webとUT-mateの統合に話を戻すと、最大のハードルはなんだったと思いますか? 授業関係で東大生が一番気にするものは……もちろん成績ですね? 成績に関連する話をややこしくしている東大に特有の事情と言えば……おわかりですね、そう、進学選択です。これについて詳しくは次の面白ポイントでご紹介します。

ちなみに関係筋によると、根本的な統一は実はUTASでも実現できなかったのだとか。また、UTASが始まったばかりの頃は、Googleで「UTAS」と検索してもタスマニア大学しかヒットしなかったというエピソードもあります。いずれにせよ、このような困難を乗り越えて、現在のUTASが完成したということです。

面白ポイントその3。ほかの大学にも「兄弟」がいます。UTASは東京大学でゼロから開発されたわけではありません。実は、「日鉄ソリューションズ株式会社」(NSSOL)が開発・販売している「CampusSquare」という製品が元になっており、UTASはその東大専用カスタマイズ版です。このCampusSquareは、他の多くの大学でも採用されています。例えば、国公立では一橋大や都立大、私立では上智大などで使われているようです。私たちのチームが独自に調査したところ、現在全国で50校以上の導入事例があるようです。

大学によっては、「UTAS」のようにカスタマイズ版に特有の名称を付けていないところもあり、「CampusSquare」という名前のままで導入されているケースがあります。Twitterで「CampusSquare」と検索すると、他の大学での利用状況や学生の声が見つかるかもしれません。

さて先ほども取り上げたように、UTASのカスタマイズの中でも一番大きいのは進学選択機能です。ご案内のとおり、東京大学では学生の成績と志望登録の内容から学部での進学先を決定する仕組みが採用されており、その「進学選択」で用いられる成績の計算や、志望の登録、そして進学先の決定に至る一連のプロセスは、UTASの進学選択関連機能で実現されています。

また、最初の点ともつながりますが、証明書自動発行機がたまにエラーを起こして停止することがあり、このときの画面に「CampusSquare」と表示されるケースがあります。こちらの写真は、2023年4月3日に大規模なエラーが発生した際に私が撮影したものです。

最後に宣伝です。

今日お話しした内容は、インターネット上の情報や各種公開資料をジグソーパズルのように繋ぎ合わせて判明した内容だけでなく、東大や開発元の関係者にインタビューを行って得た証言をもとに作成しました。こうした材料を元に同人誌を制作し、来年5月のCA26で頒布する計画です。皆さんぜひ来年の五月祭でもコミックアカデミーを訪れてお手に取ってみてください。

また、この本を作成するにあたり、学生の皆さんの座談会を企画しています。興味を持った方はこの後お声掛けいただけますと嬉しいです。

ご清聴いただき、どうもありがとうございました。

座談会

座談会について詳しくはこちらのページをごらんください。どしどしご応募待ってます。

UTAS座談会へのお誘い